有楽斎の幽霊茶碗 : 新九郎 古今捕物控

880円(税込)

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時代小説SHOW

著者
山本巧次 著
出版社
光文社
発行日
2026/3/11
状態
中古
ISBN
978-4334109431
ジャンル
小説

物語は、慶長二十年(1615年)四月、大坂夏の陣を目前にした大坂城から始まります。

織田有楽斎は、豊臣と徳川の間に立ち、何とか戦を避けようと奔走してきました。しかし、徳川方によって大坂城の惣堀が埋められ、せっかく成立した和議も事実上破綻。有楽斎も大坂城を去ることになります。

その際、有楽斎は、所蔵する数々の名物について、目付役で数寄者の松崎庄右衛門にある依頼をします。さらに、一碗の井戸茶碗を古田織部に届けるよう頼み、その報酬として高価な肩衝(かたつき)を譲ると約束しました。

それから、およそ二百年後の江戸へと時代は下ります。

南町奉行所の同心・瀬波新九郎は、亀井町で骨董商・小島屋菊兵衛の亡骸を検分し、殺害した犯人の探索に乗り出します。調べを進めると、小島屋が京の骨董商から、茶人として名高い織田有楽斎ゆかりの骨董二十点をまとめて買い取る話を、密かに進めていたことが分かります。

そして、その中には、「幽霊が持ってきた」と伝えられる謎めいた茶碗が含まれていました。

本書の面白さは、江戸で起きた骨董商殺しという捕物の謎と、二百年前の大坂城から始まる名物茶碗の来歴が、次第に結びついていくところにあります。

茶の湯の世界では、一碗の茶碗にも、誰から誰へ渡ったのかという「伝来」があり、そこに 歴史が刻まれています。本書では、その伝来そのものが謎解きの鍵となり、織田有楽斎や古田織部が生きた戦国の世と、新九郎が探索する江戸とをつないでいきます。

そこに「幽霊が持ってきた茶碗」という怪異めいた逸話が加わることで、単なる捕物帳にはとどまらない、不思議な味わいが生まれています。

骨董商を殺したのは誰なのか。そして、有楽斎の茶碗は二百年の間にどのような運命をたどったのか――。過去と現在、史実と謎解きが交錯する、時空を超えた歴史ミステリーを今回も存分に楽しめます。

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