ギャンブルスクープ
- 著者
- 八十島コト 著
- 出版社
- 星雲社
- 状態
- 発注
- ISBN
- 9784434359880
- ジャンル
- 小説
バドミントン世界ランキング一位の柿田が東京五輪で負けた。金メダル候補ナンバーワンと言われながら、不祥事により前回のリオデジャネイロ五輪の出場を逸してから、再起をかけていたのにだ。
ところで、その不祥事をすっぱ抜いたのが、千経新聞社だった。柿田が賭博喫茶に出入りしていた一年半も前の事を蒸し返してのスクープだった。世間は大騒ぎとなり、直前に予定されていたリオ五輪への出場はかなわなくなった。影響は、彼を支援している企業にも及び、ひいてはその企業からの広告も止まり、千経新聞社自体も広告収入が減収となった。
二十歳そこそこの若者の選手生命より、自社のスクープを優先し、正義を貫いた千経新聞社ではあったが、折からの新聞離れから、社内の財政は火の車だった。社長の独断による著しい派閥人事が収益にも多大なる悪影響を与えていた。自分の出身母体である社会部の出身者を偏重登用するあまり、政治部や広告局のモチベーションは著しく低下していた。
社長以下の経営陣による打つ手はリストラしかなく、有史以来空前のリストラが敢行され、現役の政治部長も辞表をたたきつけた。
そんな時、今度はある出版社からスクープが発せられた。それは、柿田の賭博をスクープした千経新聞の社会部の記者が、今を時めく話題の検事、次期最高検検事総長の椅子を狙う黒石と賭け麻雀をやっていたという前代未聞の不祥事だった。黒石はすぐに辞職した。しかし、千経新聞社は茶を濁す処分をするのみで、実質的な責任をとらなかった。世間の非難を一身に浴びる中、千経新聞社の社長が、「恥を知れ」と言われながら、暴漢に刺された。