『白鷺立つ』(住田祐・文藝春秋)
時代小説SHOW
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本の説明
千日回峰行。それは平安時代に相応和尚が神仏に捧げた祈りを起源とする、大阿闍梨へと至るための仏道修行であり、文字通り通算1000日間、足掛け7年間にも及ぶ。
700日目まで、行者は叡山の諸堂を深更から早暁にかけ、ひたすら毎日巡り続ける。それが終わると最大の難所「堂入り」が待っている。9日もの間、断水・断食・不眠・不臥の状態で真言を唱え続けるのだ。これを満ずれば当行満阿闍梨となる。その後、京大廻りなどを経て、ようやく大行満大阿闍梨と認められるのである。
この千日回峰行は「行不退」、つまり満ずるか、さもなくば死するかの二者択一とされている。
……ここに恃照と戒閻という、千日回峰行に挑む二人の僧侶がいる。二人にはなんとしても大阿闍梨になって歴史に名を刻まねばならないとある秘密があった。出生の秘密ゆえ、叡山に閉じ込められ、それでいて死ぬことも許されない立場にあった。自分が生きた証をこの世に刻み付ける、そのための最後にして最大の方法こそ、大阿闍梨になることだった――。
しかし、失敗すれば自害せねばならないと言われる千日回峰行である。叡山が挑戦を許すはずもない……はずだった。二人の選択と一人の大阿闍梨の思いが叡山全体を巻き込み、大きな黒い渦を生み出していく――!
異様なエネルギーが満ち溢れる、感動の歴史小説!