母子月: 神の音に翔ぶ
時代小説SHOW
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本の説明
心震える歌舞伎小説
第1回警察小説新人賞を捕物小説で受賞した新星が描く、江戸歌舞伎を題材にした人情ミステリー。二代瀬川路京(幼名与一)はかつて上上吉と評された立女形だった。が、あるときから天賦の拍子「神の音」が聞こえなくなり、舞に精彩を欠くようになっていた。
座付作者から現状打開に『母子月』の上演を打診される。母子の深い情を描いた芝居は、34年前に師匠の初代路京が舞台で横死した因縁の演目。話題になることは必至だが、事件を思い出すのが怖くて封印していた。葛藤の末、二代目は出演することに……。
登場人物の回想で、孤児の与一の美貌と天稟、初代との関係が丹念に描かれ、引き込まれた。母を亡くして孤独な与一にとって、芸を真摯に教える初代は父であり母でもあった。その実子円太郎は傍らで見守る、兄であり友であった。終幕で明かされる、親子の情、家族の絆に心が震えた。
